風茶房 つのるなか

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荒川英之著『沢木欣一の百句』

荒川英之さんが執筆なさった『沢木欣一の百句』が、ふらんす堂より刊行されました。

荒川英之著『沢木欣一の百句』

まず、「思想詩としての俳句」とカバーにありまして、これに感動しました。とかく「社会性」が謳われがちな欣一ですが、表現方法は俳句ですし、俳句として評価をいただけるのなら「思想詩」はピッタリな言葉だと感じました。これについて荒川さんにお伺いしたところ、荒川さんの書いた巻末論考のタイトルを荒川さんが師事なさった栗田やすし先生が付けてくださり、その言葉をふらんす堂がピックアップしてくださったのだそうです。さすがのセンスです。

早速、拝読しまして、こんなことになりました。

荒川英之著『沢木欣一の百句』

上部の付箋はこのブログで掲載済みの俳句で、照らし合わせて読ませていただきました。私がヘンなこと書いていないかのチェックです。(^^;;

下部の付箋は荒川さんの鑑賞に感動し、もっと読み込んで勉強しなければと思ったところに貼りまして一番多いです。
下部に付箋を貼った俳句と荒川さんの鑑賞をひとつだけ転載させていただきます。

  夜学生教へ桜桃忌に触れず 『地聲』昭和三十三年

 明治大学の夜間部で非常勤講師を務めた時期の作である。「桜桃忌」は太宰治(一九〇九 ー 四八)の忌日。
 教室の窓明りに誘われて、おびただしい数の蛾や椿象(かめむし)が網戸に集まって来る。その網の目を通り抜け、小さい虫がノートの上を這ったり、髪や顔にまつわりついたりする。そうした中、勤労の疲れを見せず、学生は夜の講義に聴き入っている。彼ら苦学生に対し、退廃的な生活を送って自らを破滅させた太宰治を語ることに作者は意味を見出せなかったのであろう。夜学生に対する作者の深い理解をうかがわせる作品。

 ー『沢木欣一の百句』荒川英之(ふらんす堂)P72−73

縦部の付箋はブログ用の写真はあるけれど掲載するにはイマイチな気がして保留にしている俳句に貼りました。写真を撮りたくても撮れない俳句にも付けています。荒川さんの鑑賞を参考にして、どうするかを決めたいと思っています。欣一俳句が低く誤解されることのないように写真を選びたいのです。

この本は内容のレベルの高さが際立っていますが、どなた様であっても欣一の俳句と思想と人間性の理解の助けになることは間違いなく、その恩恵をいただいた代表が私です。
欣一の俳句鑑賞の良書が孫弟子のお若い荒川さんによって生み出されたこと、遺族として嬉しい限りです。

ふらんす堂代表によって書かれた『沢木欣一の百句』の紹介記事。

雪景色を背後に静かに足袋を干す青年。なんて、グッとくる。 : ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko


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