風茶房 つのるなか

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日が恋し吹かれ集るあめんばう 沢木欣一

日が恋し吹かれ集るあめんばう 沢木欣一

日が恋し吹かれ集るあめんばう 沢木欣一

昭和18年の俳句で、「武蔵野善福寺池 三句」の前書があるうちの一句です。

この写真を撮ったがゆえ、掲載したいと思った俳句なのですが、この句については説明をしなければなりません。

まず、「あめんばう(水馬、アメンボ)」は夏の季語です。
しかし、この句は秋に詠まれていて、それは同時作から判断できます。
「日が恋し」を「お日さまが恋しい季節」と読めば、秋を表わしていると取れます。
アメンボの繁殖期は初夏ですが、今現在でも、東京で交尾しているアメンボは数少ないですが、います。交尾しているアメンボは水に映る脚の数で見つけるのが分かりやすいです。遠目だとメスとオスが一体化しているので体で見つけるのはよほど目が良くないと難しいのです。
俳句の「恋」の言葉から、写真はペアのアメンボにしましたが、欣一が見たのがペアだったかどうかは分かりません。

そして、実はこの句は改作です。当初は第一句集『雪白』に掲載された「武蔵野善福寺池にて 四句」のうちの一句でした。

 陽に親し吹かれ集るあめん

これが最初の俳句です。
次に、第二句集『塩田 』の雪白抄の項に、「武蔵野善福寺池 三句」のうちの一句として掲載され、

 陽が恋し吹かれ集るあめん

となり、昭和51年発行の『定本・塩田』では、

 日が恋し吹かれ集るあめん

最後に、欣一の没後に出版された平成26年発行の『沢木欣一全句集』では、

 日に恋し吹かれ集るあめん

となっています。
今回は『定本・塩田』の俳句で掲載いたしました。