風茶房 つのるなか

https://scrapbox.io/kazesabou/「細見綾子・沢木欣一 俳句アーカイブ」よろしくお願いします

丹波栗三つを墓のてのひらに 沢木欣一

丹波栗三つを墓のてのひらに 沢木欣一

丹波栗三つを墓のてのひらに 沢木欣一

平成10年の俳句です。

どちらのお墓をお参りして詠んだ句なのかは分かりませんでした。
妻・綾子は前年に亡くなっていますが、当時は納骨されていません。

この句が収録された欣一最後の句集は『綾子の手』といい、平成7年から10年までの作品が掲載されています。平成9年に綾子が亡くなり、「綾子追悼の句集になった」と、欣一自身が句集のあとがきに書いています。
そのあとがきの中には西東三鬼さんの名前が唐突に出てきます。あるエピソードのあとに、「三鬼さんは綾子俳句の愛読者であった」と記しました。

欣一は昭和37年に、このような俳句を詠んでいます。

 丹波栗五六顆を墓のてのひらに 沢木欣一

こちらの俳句には前書があり、「岡山県津山市三鬼氏の墓にて 五句」のうちの一句です。『自註現代俳句シリーズ 沢木欣一集』には、「岡山県津山市の三鬼の墓に詣った。ゆでた丹波の栗をカバンに持っていたので供えた。」と、さりげなく供えた様子が書かれています。綾子が旅のおともにと持たせた茹で栗だったのでしょう。

このふたつの俳句には、見える文字以外にも、何か共通する思いがあるのだと思います。妻・綾子の故郷の丹波栗を供える意味は、哀悼の念が強く、親しみを感じていた人だったろうとは想像できます。

※写真の栗は残念ですが丹波栗ではなく、武蔵野の栗しか用意できませんでした。