風茶房 つのるなか

https://scrapbox.io/kazesabou/「細見綾子・沢木欣一 俳句アーカイブ」よろしくお願いします

彼岸入り四国の白い曼珠沙華 細見綾子

彼岸入り四国の白い曼珠沙華 細見綾子

彼岸入り四国の白い曼珠沙華 細見綾子

平成4年の俳句です。

俳句の背景は調べたけれど、わかりませんでした。
綾子はすでに庭にあった白花曼珠沙華が咲いたのを見て、改めて球根の出自を思ったのだろうかと想像しています。

綾子は赤の曼珠沙華には故郷の思い出があり、その親しみと、法隆寺で見たときの「この世のものではない」深い印象を持っています。特別な思い入れがあったと思います。
対して白花は関心・感心・歓心を持って見ていたようです。まだ慣れ親しんでいないけれど好意は抱いている、というところでしょうか。

綾子の曼珠沙華の思い出は『武蔵野歳時記』(東京新聞出版局)の「曼珠沙華」の項で読みました。
確かに、昔は彼岸花という呼び名しか知らなかったなあと思います。私は愛知県出身ですが、これは兵庫県出身の綾子と同じです。
もうひとつ、「彼岸花はどんなにきれいでも、家の中へ持ち込むことは禁じられていた。火を連想するからか」と書いてありますが、これも同様で、赤い彼岸花は「火事を呼ぶ不吉な花だから持ち帰ってはダメ」と言われていました。

後年になって知識を得まして、実際のところは毒を持つ植物だから、それで子供が触ることを禁じていたように思います。
昔は飢饉のときに鱗茎の毒を抜いて食べたそうですが、 通常は食べたくない不味さとのこと。鱗茎の毒は田んぼのモグラ除けになったため、彼岸花は田んぼの畦道によく植えられました。kazeがどこかで聞きかじった話では、本当に酷い飢饉になったら毒として人減らしのために使ったけれど、それはタブーとして語られないとか。

曼珠沙華