風茶房 つのるなか

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鉛筆と消ゴム買ひに金木犀 沢木欣一

鉛筆と消ゴム買ひに金木犀 沢木欣一

鉛筆と消ゴム買ひに金木犀 沢木欣一

平成5年の俳句です。

鉛筆と消ゴムを買いに外へ出たら金木犀の香りがした、という俳句だと思います。
欣一の住んでいた町のいたるところに金木犀はありました。一般のお宅の庭にはたいてい植えられていましたし、農家には金木犀だけで作られた長い生垣と巨木がありました。そしてわが家の庭にもありました。他の樹木に比べると目立たなかったけれど、花期には香りでその存在を主張しました。

これは庭の金木犀を詠ったのかもしれません。
庭木だとすると、「行ってきます」「ただいま」と声を掛けたようにも思いますし、金木犀から「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」と言われているように感じてもおかしくありませんよね。

「香」と書かなくても、その名で香りが漂ってくる数少ない植物だと思います。そして誰もが知る身近な存在です。さりげない日常を併せたこの俳句が好きです。