風茶房 つのるなか

https://scrapbox.io/kazesabou/「細見綾子・沢木欣一 俳句アーカイブ」よろしくお願いします

葛しげり季節がここに充ちてゐる 細見綾子

葛しげり季節がここに充ちてゐる 細見綾子

葛しげり季節がここに充ちてゐる 細見綾子

昭和15年の俳句で、「布引山を下る 二句」の前書があるうちの一句です。

葛は場所によっては困るくらいに繁り、アメリカ合衆国では侵略的外来種とされています。(詳しくはこちら
近所の観察エリアでも、葛は突如として伐採されて無くなります。しかし、花色は格別に美しく、花を見つけると嬉しくなります。その美しさ故か、秋の七草ですね。
また、日本では葛が希少になって本葛粉はお高い食品になってしまいました。今はたいてい、ジャガイモか、サツマイモか、トウモロコシの澱粉が入っていますが、それでも葛の価値が高く認められているために葛粉(割合によっては本葛!)の名前で売られています。

綾子がこの句を詠んだ昭和15年、葛はまだ日本全国に豊富にあったのでしょうか。
茂った葛を疎ましく思う人は当時もいたのかもしれませんが、だからこそ、綾子は肯定的な目で葛を眺め、その生命力を力強く称えました。

季語は「葛の花」ではなく「葛」なので、花のないときの蔓と葉を詠ったとも考えられます。でも、詠んだ季節は今頃のようで、それなら花が咲いていてもおかしくないですし、花があった方が映えるので、この写真にしました。

そして、昨年の欣一の俳句の写真を差し替え、文章も訂正しました。
こちらには大きな花葛の写真を載せています。

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