風茶房 つのるなか

夫(kaze777)を亡くして猫と暮らしています。自然観察と写真と珈琲が好きです。細見綾子、沢木欣一の俳句のことなど。

肉厚き女空蟬指させり 沢木欣一

肉厚き女空蟬指させり 沢木欣一

肉厚き女空蟬指させり 沢木欣一

平成8年の俳句で、「向島百花園 五句」の前書があるうちの一句です。

見たことのない自然物を見つけるのは大変ですが、一度見て知ってしまうと次々に見つけることができるようになります。
先日掲載した、

 少女等の風琴鳴れば朝の蟬 沢木欣一

の写真を撮った近くのコナラの木に、ニイニイゼミの空蝉(抜け殻)がありました。
その辺りは蝉の羽化場所だろうから空蝉も見つかるはずと思って周辺の木を探したのです。ニイニイゼミにしては思いがけず高い場所にありましたが、そのおかげでこの俳句に合う写真になったと思います。

「肉厚き女」とは、欣一らしい面白い表現で、食べ物に肉厚は使いますが、人に使ったのですね。肉厚の女が肉厚の太い指で樹上の小さな空蝉を指さす姿が臨場感を持って浮かび上がってきます。生きものとしての重厚さを想像させる女と、空っぽの小さな蝉の抜け殻、その対比がさまざまな生きものの共存する自然の多様性を表現しているように感じました。

ニイニイゼミの抜け殻は他の蝉にはない特徴があって、必ず泥がついているのだそうです。上の写真の抜け殻は高いところにあって確認しにくいので、数日前に見つけたオオバコで羽化したニイニイゼミの抜け殻の写真です。踏まれそうな場所で低すぎでしたので、これはこれで驚きました。

空蝉(ニイニイゼミの抜け殻)

空蝉(ニイニイゼミの抜け殻)

【2020/07/18追記】

抜け殻のついていた樹木が何であったか、確認に行きました。コナラでしたので文章中に書き加えました。
まだ同じ抜け殻があったので、そのものも撮影して、よく見えるように切り取った写真です。

コナラで羽化したニイニイゼミの抜け殻

コナラで羽化したニイニイゼミの抜け殻