風茶房 つのるなか

https://scrapbox.io/kazesabou/「細見綾子・沢木欣一 俳句アーカイブ」よろしくお願いします

病む人に春の光を贈りたし 細見綾子

病む人に春の光を贈りたし 細見綾子

病む人に春の光を贈りたし 細見綾子

平成7年の俳句です。句集でこの後に続く句は、

 春昼の見舞ほがらかという言葉 細見綾子

どなたのお見舞いに行ったのか、大切な人だったのだろうな、というのが第一印象です。綾子は前年にも入院していましたし、老年ゆえ、お見舞いに出掛けるのも一仕事ではなかったか、と思ったのです。

山田春生さんの著作『乱世の俳人 沢木欣一の世界』(紅書房)によると、3月24日に夫・欣一が入院しており、31日にCTスキャン検査を受けています。綾子はこの時に、この句を詠んだようです。光を贈りたい相手は欣一でした。そして、この日は綾子の88歳の誕生日です。

この俳句は、心底回復を願う祈りの言葉であり、その慈愛に満ちた崇高な心根に深いものを感じました。
相手が誰であろうが成り立つ句ですが、老妻が夫を思慕する背景を知って泣けました。