風茶房 つのるなか

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杏の花ぎつしり枝の見えぬまで 細見綾子

杏の花ぎつしり枝の見えぬまで 細見綾子

杏の花ぎつしり枝の見えぬまで 細見綾子

平成6年の俳句です。

武蔵野の庭の杏(あんず)を詠った句と思います。
綾子は随筆で、金沢の借家時代の庭の杏について書いていて、杏の木があることが引っ越しの決め手になった、とあります。植物を愛する綾子らしいです。

今回のこの俳句の前の句は、

 金沢のあんず花つけ何年目 細見綾子

これで、武蔵野の家の杏は金沢の出のものだと分かりますし、欣一にも「加賀の杏を移し植えた」という俳句があります。

杏は梅と区別が難しく、私も悩まされましたが違いのポイントがいくつかあり、それを憶えてしまうと、たいてい、じっくり見れば判断できます。
そのポイントのひとつに花の付き方があり、花がぎっしりと枝の先まで咲くのは杏の特徴です。綾子は見たままから句を詠んだのでしょうが、杏の特徴をしっかりと捉えていました。

蛇足ながら、私のおおまかな見分けを書いておきます。

杏は枝の全体に咲く(梅は枝の根本の方に咲く)
杏は開花時に萼が反り返る(梅は反り返らない)
杏は萼の先が尖る(梅は丸い)
杏の花には香りがない(梅の花は香る)