風茶房 つのるなか

夫(kaze777)を亡くして猫と暮らしています。自然観察と写真と珈琲が好きです。細見綾子、沢木欣一の俳句のことなど。

水仙の切り時といふよかりけり 細見綾子

水仙の切り時といふよかりけり 細見綾子

水仙の切り時といふよかりけり 細見綾子

昭和47年の俳句で、「越前岬 二十七句」のうちの一句です。

越前は水仙の名所で、『自註現代俳句シリーズ 細見綾子集』に、綾子は次のように書いています。

越前岬の水仙を見たいと言っていたら、年の暮になって「今が切り時だ」と知らせて来た。「水仙の切り時」という言葉がうれしかった。

品質の良い越前海岸産の水仙は、花の盛りとなる年末に全国に出荷するために収穫されるのです。それは出稼ぎに出る夫を待つ女たちの仕事でした。
綾子は越前へ出向き、水仙を生活の糧とする女たちの労働と、越前海岸の自然を詠み込んだのでした。27句中20句で「水仙」の言葉が使われています。

写真は句作の背景と切り離し、この俳句単独でイメージしたものです。
例えば庭のような身近な場所にある水仙を、家の中に飾るために切る、というような、誰にもあり得る情景です。

※【参考】

「越前水仙」は、品質の良い越前海岸産の花卉である水仙のブランド名で、植物学的には、ヒガンバナ科スイセン属のニホンズイセンである。一般的に、単に「すいせん」と言うと、ニホンズイセンの他にもバルボコスイセンやラッパズイセンも含んで、スイセン属を指す場合が多い。

織田文化歴史館 越前水仙のページよりhttps://www.town.echizen.fukui.jp/otabunreki/panel/15.html