風茶房 つのるなか

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南天の実に惨たりし日を憶ふ 沢木欣一

南天の実に惨たりし日を憶ふ 沢木欣一

南天の実に惨たりし日を憶ふ 沢木欣一

昭和20年の俳句で「復員後丹波に細見綾子を訪ふ 六句」との前書があります。
読みは「なんてんのみにさんたりしひをおもふ」です。

欣一は戦争へ行き、朝鮮の仁川から佐世保に復員しました。本籍地の富山に向かう途中で、綾子の住む丹波に寄ったのです。欣一の著書『昭和俳句の青春』(角川書店)に書かれた言葉をそのまま受け取るのなら、当時は恋愛関係ではなかったし、そういう意識をあらわにもしていなかったようです。ただ、「肉親と同じくらいに心配してくれていた細見綾子に何はともあれ帰ったことを知らせたかった」と書いています。
綾子は家族総出で欣一をもてなしました。その時のことは綾子も俳句に詠んでいます。昭和20年10月25日から三日ばかりの丹波滞在でした。
その綾子の家の中庭に南天の実がたわわに垂れていたのだそうです。日に照らされて輝いた赤い実から、命の尊さと生き延びたことへの感謝を感じたのではないかと思います。

南天は現在もその場所にあります。綾子の家は「丹波市俳人 細見綾子生家」として予約制で一般公開されていますので、どなたでも見学することができます。

写真は欣一や綾子が暮らした武蔵野の家の庭で撮ったものです。
kazeが挿し木で増やしたため、南天だらけの家になっていました。
私も今、ベランダの植木鉢で実生から南天を育てています。